恋の後味はとびきり甘く
 私ったらなにやってるんだろう。さっきから涼介くんに気を遣わせてばかりだ。彼はもっとためになる話を聞きたかったはずなのに。

「やだな。こんな話になるってわかってたら、お茶に誘ったりしなかったのに……」
「す、すみません」

 涼介くんが頭を下げた。その勢いがよすぎて、彼の頭がテーブルにゴンッと当たる。

「あっ、大丈夫ですか?」

 私は思わず腰を浮かせ、身を乗り出した。涼介くんがそーっと顔をあげた。私の目の前に彼の顔がある。手触りのよさそうなやわらかな茶髪、はっきりした二重の瞳、すっと流れるような鼻筋。口角の上がった甘さのある唇……。

 さっきプラリネを食べたあの唇は、アーモンドの香りがするんだろうか。

 そんなことを思ったことが恥ずかしくなって、あわてて視線をあげた。彼の眉の間辺りがうっすらと赤くなっているのに気づいて、そっと手を伸ばす。

 やさしくなでたつもりだったのに、彼が眉を寄せたので、急いで手を引っ込めた。

「ごめんなさい。痛かったですよね」
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