恋の後味はとびきり甘く
 彼だって迷惑だよ。そんなプライベートなことを会って二度目の私みたいな女に訊かれちゃ。もう、私ってば余計なことばっかり言って!

「ホント、ごめんなさい」

 私がもう一度謝ったとき、彼が言った。

「食べ物はハンバーグが好きです。彼女は大学を中退するときに別れてからいません」
「え?」
「鈴音さんが知りたかった答えです」
「あ」

 言われて気づいた。そうだ、私がそんなことを口走ったんだった。

「鈴音さんは?」
「なんですか?」

 彼に問いかけられて首を傾げる。

「好きな食べ物はなんですか? 彼氏はいるんですか?」
「あ、えっと、好きな食べ物は……チョコレートです。彼氏はいません」

 真面目に答えたとき、彼が「あ、しまった」とつぶやいた。

「どうしたんですか?」
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