恋の後味はとびきり甘く
「ダメならいいんですけど……」
「ダ、ダメなわけないです! ぜひ!」

 思わず意気込んで答えてしまった。涼介くんがうれしそうに笑ってくれる。

「よかった。モン・トレゾーの定休日は水曜日ですよね。俺、四時半に授業が終わるんです。鈴音さんの家はどこですか?」
「家?」
「はい。迎えに行きます」

 家に迎えに!?

 それはうれしいけど……。

「でも、待ち合わせるなら駅の方がいいかも」

 だって、その方が早く会えるもん。

「わかりました。じゃあ、五時に改札前でいいですか?」
「はい」
「どこか行きたいところはありますか?」
「行きたいところ……」

 これってデートなんだと思っていいの? 『一緒に出かけませんか』って言い方だから、デートとは違うのかな? それとも……起業の話の続きを聞きたいとか?

 大学時代に男子ふたり、女子ふたりで友達デートをして以来、そういう経験がないからよくわからない。しかもその友達デートに来た男子はふたりとも私の友達が目当てだったという……情けない結末だった。
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