恋の後味はとびきり甘く
 あっちのショップは通勤カジュアルっぽい服ばかりだし、こっちのショップはマネキンがふりふりレースのラブリーすぎるワンピを着ているし。

 ほどよくカジュアルなショップをようやく見つけ、中に入った。これから冬に向けて、セーターやワンピースなどのニット類がたくさん揃っている。

 やっぱりデートなら(涼介くんはデートとは言ってないけど)スカートの方がいいよね?

 吊り下げられているベージュのフレアスカートを手にとって、似合うだろうか、と鏡を見てみる。

 これなら家にあるホワイトシャツとも合いそう?

 悩みながら鏡を見ていたら、店員さんが近づいてきた。

「スカートをお探しですか?」

 二十代前半くらいのゆるふわパーマのかわいらしい店員さんが、にっこり微笑みかけてくる。

「あー、えっと、カジュアルなお出かけ服を探してまして……」
「デートですか?」

 店員さんに言われてうろたえてしまう。

「あ、や、デートというか、まあ、そうなったらいいなっていう……」

 言っているうちに顔がカーッと熱くなってきた。さすがに接客のプロである店員さんは、にっこり笑顔を崩さない。
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