恋の後味はとびきり甘く
「そ、そうですか?」
「はい!」
「でも、こういうのを着るのって初めてで……」
「でしたらなおさらオススメします。普段とのギャップを見せるのがいいんですよ!」

 そんなもんなのかなぁ?

 まあ、彼女の方が涼介くんに歳が近いし……店員さんが言うんだから大丈夫……よね?

 不安を拭い切れないまま、私はワンピースとそれに合う大ぶりのネックレスを買って、ショップを出た。

***

 帰宅してメイクをして、今日ぐらいは、とヘアアイロンを引っ張り出し、毛先を緩くカールさせた。慣れないことをしているうちに待ち合わせの時間が迫ってきて、あわてて家を出た。駅に着いたのは待ち合わせの五分前。

 緊張しながら待っていると、やがて電車が到着して、何人か乗客が下りてきた。制服姿の高校生のうしろに涼介くんの姿が見える。ストライプシャツの上にニットを着てチノパンを穿いていて、やっぱりカジュアルなスタイルだ。

 彼が改札に近づいてくる。

 なんて声を掛けよう。こんにちは、が普通かな。
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