恋の後味はとびきり甘く
「それに週に一時間だけだけど、フランス語の授業もあるんですよ」
「えー、フランス語?」
「はい。フランスの料理学校と提携してて、成績優秀者は留学できるんです」
「そうなんだぁ。涼介くんもフランス留学を目指してるんですか?」

 涼介くんがフランスへ行ってしまったら寂しい、なんて思ってしまう。

「俺はフランスよりベルギーの方がいいなぁ」
「ベルギー?」
「はい。フランス留学コースはパティシエ志望者向けなんですけど、ベルギー留学コースはショコラティエ志望者向けで、現地のショコラトリーでショコラティエに師事して学ぶことができるんです」
「成績優秀者なら?」
「そうなんです。成績優秀者ってところがハードル高いんですよねー」

 涼介くんが苦い笑みを浮かべて続ける。

「鈴音さんが最初に交渉したのはベルギーのショコラトリーなんですよね?」
「そうです。観光地だからか、看板にはショコラトリーってフランス語じゃなくて、チョコレートショップって英語が書いてありましたけど」
「交渉は英語でしたんですか?」
「もちろん。フランス語は挨拶くらいしかできないですから。まあ、英語も微妙なんですけど、でも、熱意だけなら誰にも負けないと思ってます」
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