恋の後味はとびきり甘く
「俺みたいな年下の学生が誘っても、OKしてもらえないかなって思ってたから、すごくうれしかったんです」
「ホントに……?」

 彼の顔に笑みが浮かぶ。

「もちろんです。じゃあ、仕切り直しましょう。今からちゃんとデートしましょうね」

 涼介くんが言って左手を差し出した。その手のひらを見て、心臓が大きく跳ねる。

 手をつなごうってこと!?

 視線を彼の手から顔に移したら、涼介くんが手をひらひらと振った。

 私はそっと手を伸ばして、彼の手のひらに自分の手のひらを重ねた。大きな手、と思った直後、指先が絡められ、彼との距離がぐっと縮まる。

「行きましょうか」

 彼が言って促すように歩き出した。私の手を引く力強さに、心臓がどうにかなっちゃうんじゃないかってくらいに大きく打っている。

 ねえ、こうして手をつないでくれるってことは、期待していいの? 友達デートじゃ手なんかつないだりしないよね?

 でも、そんなことを直接訊けるわけもなく、なにも言えないまま入口のトンネルへと足を踏み入れた。
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