恋の後味はとびきり甘く
「すごくキレイでおいしそう」
「食べてみてください」

　涼介くんに箱を差し出され、「それじゃあ、いただきます」と言って、ダークチョコレートの方を手に取った。私が口に入れるのを、涼介くんが固唾を呑んで見守っている。

　そんなふうにじっと見られると緊張するんですけど。

　気持ちを落ち着かせてトリュフを口に含む。舌にのせたとたん、表面のコーティングが崩れて、中のガナッシュがゆっくりと溶け出した。濃厚なチョコレートと生クリームが舌の上でまろやかに蕩ける。

「うん、おいしい」
「ホントですか？」

　涼介くんが身を乗り出してくる。

「はい」

　オーソドックスなトリュフで、普通においしい。

「じゃあ、モン・トレゾーで売ってくれますか？」
「えっ」

　涼介くんの言葉に驚いて、彼の顔を見た。彼は真剣な目で私をじっと見る。
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