恋の後味はとびきり甘く
「待ってよぅ、あたしも行く! 涼くんがバイトしてるとこ、見たいもん!」
「なに言ってんだよ。洋食屋だから見るだけなんてダメだぞ」
「じゃ、晩ご飯食べよっかな~」
「とか言って、この前は女子三人で来てドリンクバーだけで居座ってたくせに」
「だって~、あのときはご飯を食べてきたからお腹いっぱいだったんだもん」
涼介くんは小さく首を振って、自由な方の手を伸ばしてショーケースの一角を差した。そしてユキさんに諭すような口調で言う。
「俺の好きなのはあのトリュフ。ユキが教えろって言うからちゃんと教えたぞ」
「うん、わかった。また買いに来る」
「またって?」
「今から涼くんのバイト先に行くことにしたから」
「なんだよそれ」
涼介くんはため息をついてから、私を見た。
「すみません、鈴音さん。騒ぐだけ騒いでなにも買わなくて」
「いいですよ。また来てくださいね」
私は笑顔を作って涼介くんとユキさんに向けた。涼介くんがぺこりと頭を下げ、ユキさんと腕を組んだまま店を出て行った。
ドアが閉まってから、咲恵さんがショーケースに近づいてくる。
「彼、照れちゃって。かわいらしいカップルねぇ」
「なに言ってんだよ。洋食屋だから見るだけなんてダメだぞ」
「じゃ、晩ご飯食べよっかな~」
「とか言って、この前は女子三人で来てドリンクバーだけで居座ってたくせに」
「だって~、あのときはご飯を食べてきたからお腹いっぱいだったんだもん」
涼介くんは小さく首を振って、自由な方の手を伸ばしてショーケースの一角を差した。そしてユキさんに諭すような口調で言う。
「俺の好きなのはあのトリュフ。ユキが教えろって言うからちゃんと教えたぞ」
「うん、わかった。また買いに来る」
「またって?」
「今から涼くんのバイト先に行くことにしたから」
「なんだよそれ」
涼介くんはため息をついてから、私を見た。
「すみません、鈴音さん。騒ぐだけ騒いでなにも買わなくて」
「いいですよ。また来てくださいね」
私は笑顔を作って涼介くんとユキさんに向けた。涼介くんがぺこりと頭を下げ、ユキさんと腕を組んだまま店を出て行った。
ドアが閉まってから、咲恵さんがショーケースに近づいてくる。
「彼、照れちゃって。かわいらしいカップルねぇ」