恋の後味はとびきり甘く
 平静を装おうとしたけど、胸がドロドロとしてどうしても無理だ。嫉妬のにじみ出た醜い顔になっている気がして、私は棚に近づくフリをして彼に背を向けた。

「それはまあ、クラスメイトだから」
「ただのクラスメイトなら、あんなふうに腕なんか組んだりしないと思いますけど」

 そう言ってしまってから、しまった、と思った。こんな言い方じゃ嫉妬してるってバレバレだ。

「鈴音さん?」
「ごめんなさい、なんでもないです」
「鈴音さん、こっち向いてください」
「や、それはちょっと……今忙しくて手が離せなくて」

 うまいいいわけが思いつかず、ごまかすようにブツブツ言いながら、棚の包装紙をガサガサと触る。ああ、大人げない。

「鈴音さんが俺を見てくれないなら、俺が鈴音さんの方に行きます」
「えっ」

 驚いて振り返ろうとしたときには、背後から彼にふわりと抱きしめられていた。

「鈴音さん。俺、鈴音さんがヤキモチ焼いてくれてるんだって、うぬぼれてもいいですか?」
「え、ヤキモチって、そんな」
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