恋の後味はとびきり甘く
 取り込んだままカゴに入れっぱなしの洗濯物をあわててクローゼットに隠し、リビングのローテーブルの本や雑誌を本棚に差し込んだ。

 あ、肝心のグラタンを焼き始めなきゃ!

 初めての事態に焦り、あわて、戸惑いながらも、どうにか涼介くんを迎える準備を整えた。ホッとひと息つくまもなくインターホンが鳴り、モニタにはこちらを見る涼介くんの姿が映っている。

 ひゃー、ついに涼介くんが我が家に!

 勝手に速まる呼吸を整えながら応答ボタンを押し、オートロックを解除した。ほどなくして玄関のベルが鳴る。

「こ、こんばんは」

 震える手でドアを開けたら、昼間と同じカジュアルな格好の彼が立っている。

「こんばんは」
「どうぞ、あがってください」

 ドアを押さえたまま一歩下がると、彼が「お邪魔します」と神妙な顔で言って入ってきた。タイミングよくオーブンレンジの電子音がキッチンに響く。

「あ、ちょうどグラタンが焼き上がったみたいです」

 先に立ってダイニングへ案内しようとすると、うしろを歩いていた涼介くんに声をかけられた。
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