さよなら、涙。─ また君に会いたくて
「美春」
私を呼ぶ声に、小さく肩が揺れた。
呼吸を整えてから笑顔を作った私は覚悟を決めて、ゆっくりクラスメイトたちと一緒にいる彼の席へと歩み寄る。
「亮介……おはよ」と、言って。
亮介を取り巻くクラスメイトたちの間を割って、彼の姿が薄っすらと視界に入った。
茶色の髪の隙間から覗く、亮介の二重の大きな瞳が私を捉えた瞬間。トーンを下げた声が教室へ響く。
「なんで今日は、メガネを掛けてんの?」