さよなら、涙。─ また君に会いたくて



亮介は、二重瞼のはっきりした顔立ちに、茶色がかった髪をワックスでセットして。

制服も真面目過ぎず、緩過ぎず綺麗に着こなしている。

女の子の私より よっぽど細やかな彼に、少なからず引け目すら感じるくらい。



「ふぅ」と軽く息を吐いた私へ
ひとつ前の席の千紗が、唸るような声をあげてから振り返った。


「うーん、でもさぁ、村井くんが美春の彼氏だなんて、いまだに信じらんないよ」

「ははっ、そうだよね」


千紗が首を傾げるように、クラスの中心的存在の亮介は


……本当に信じられないけれど


   私の“彼氏”


< 7 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop