王子の初恋は私な訳ない

「ギャッハッハッハ!!!」
「まじかよ。成田!流石だよお前!」
「男ってより漢って感じだね♪」
「うん。流石私の認めた漢。」
学校に着き朝の出来事を前のシゲ・ヤス・澪ちゃん・ももりんに話した。
「ギャッハッハッハハー・・・いや、やっぱすげーよ成田!いつかやってくれると・・・ギャッハッハッハ!」
「いや、ツボりすぎっしょ!こっちは本気でビビったのに!」
「シゲは笑ったら止まらないからな。んでなんて言ったん?」
「あっ・・・あの私女です。って言った。」
「ギャッハッハッハ!そこじゃねえよ!いや、そこだけどなんだよその不抜けた返事!ギャッハッハッハ!!」
「いやでも成田・・・ごめん、ジワる。」
なぜかヤスも笑いを堪えてか、お腹を抑えて静かに震えてた。
「んで、その子って誰か分かったの?」
「あ、そういやなんか貰った!」
澪ちゃんの言葉に思い出してポケットを探す。なんか手紙のようなメモの様な物を貰った。
「わー懐かしい。この手紙の織り方。」
「確かに♪流行りましたね♪」
便箋を封筒のように折っていた。
中を開いてみてみると、ラインIDと名前が書いてあった。
「工藤柚季(クドウユズキ)?可愛いの?」
笑いが止まったシゲが興味津々に聞いてきた。
「うん。シゲの好みな感じだと思う。」
「まじかよ!ずりーよ成田!」
「いや確かにずるいけど、こいつ女だからな。」
ヤスはそうツッコんだあと、またお腹を抑えて笑ってた。
「わかんないなー。ももりん知ってる?」
「2年生の工藤柚季ちゃん。茶道部の子なの♪純粋派って感じ♪可愛いけど、惚れやすいって噂は聞いた事あるよ♪」

ももりんが話し終わった辺りで王子が教室に入ってきた。
今日も相変わらず寝癖がついてて、シャツがだらけて鎖骨がチラついてる。
顔はぼーっとしてるが可愛い。女子生徒が王子来た瞬間に王子を見た事を本人は気付いていない。

「おはよー。なんの話してるのー?」
あくびをしながらシゲに話しかける王子。肩から鞄を下ろす時に少し服が引っ張られ、鎖骨が多くチラついた。
「成田が朝告白されたんだってさー。」
まとめて言うと確かにそうだ、でも、私的には女の子にって事も付け加えて欲しかった。
その私の想いに気付いてかヤスが口を開いた。
「だから言ったんだよね、付き合っちゃえってさ。」
いやいやいや気付いてなかったよヤス。
ってかそんな事一切言ってないよ!
いや気づいてたのか!?ワザとか!?

「そうなんだー。」
そう言ってボケーッとした顔のまんま王子は隣に座った。
・・・あれ、王子興味なかったのかな。
あーそうか、私になんか興味ある筈ないか。
・・・あれ?でもそれ言ったら昨日のは・・・
いや、あれすら夢なのか。

そう思ったら妙に納得した。
それと同時に先生が入って来た為に皆は前を向いた。
すると王子は私の右手を掴んだ。
ビックリして王子をみると、真剣な顔をして

「告白...されたの?」

と言った。

私は恥ずかしくなって
「うん...」とだけ答え下を向いた。
HR中、王子は私の手を離さなかった。
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