王子の初恋は私な訳ない
静まり返った教室
みんなが固唾を呑んで見守る。
「えっと...ありがとう。でもごめんなさ「なんでですか!?私の事全然まだ知らないのになんで断るんですか!?」
上目遣いで成田を見ながら必死にいう。
「え、あっ、えっと...その...」
押しに負けかけてたら強く抱きしめられた。
「先輩、すきなんです。」
そんな言われて落ちない男は居るんだろうか。
いや確実に落ちるに決まってる。
後ろをチラッとみるとシゲヤスが悔しそうに...いや、面白がっている顔をしていた。

「うーん...確かに君の事よく知らないけど...」
困っていると今度は後ろに引っ張られた。
柚季の手は離れ、代わりに後から何者かに抱きしめられているようだ。
何者か...いや、この感じ...まさかそんな...

「俺のだからあげない。」

自分に起きてる状況を瞬時に察知し顔が沸騰した。

「っ!!...負けませんから!!」
そう言って柚季は去っていった。

静まり返った教室...
「っっっつ!!!ギャーッハハハハ!!!」
シゲの笑い声でドッ盛り上がる。
「岩谷!お前やべーな!!!」
「まぢで今のは惚れかけたわあ」
そう言いシゲヤスが王子にまとわりつく。
「ちょっやめろってバカっ」
そう言って少し赤くなってる王子を見て、腐女子な女の子達は最高に興奮していた。
「いや、まじで成田ウケるから〜!」
「あれを追っ払ってあげる岩谷優しすぎんべ!」
「つーかまじ名演技だったわ〜!」
教室中が笑いに包まれた。

「成田〜お前これで岩谷に惚れたな!ギャッハハハハ!」
「岩谷かっこよすぎたもんなー」
シゲヤスが次々と茶化してくる。
「んな馬鹿な事あるかい!!これで王子に惚れたんじゃなく、前から惚れてるわ!!」
そう言い返すとまた教室中が笑いに包まれた。
「ギャッハハハハ!!!お前やっぱ最高だわ!!」
「くーっそ!まじウケっから!!」
みんなが笑うから楽しくなった。
チラッと王子をみると笑ってくれていた。
良かった、私がこんな事言って迷惑がってたらどうしようと思った。
心なしか少し顔が赤くなってるように見てるけど、それはきっと笑いすぎてなのだろう。
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