王子の初恋は私な訳ない
「愛理、帰ろ?」
カバンを片手に首を傾げる王子。
いつの間にか放課後になっていたらしい。
「…あ!…えっと…」
やばいどうしよう!ぼーっとしていて断る理由を考えるのを忘れていた。
「いや、ちょっと今日は…」
そう言いながら俯き言い訳を考えた。
王子は相変わらず真っ直ぐ私を見ていた。
「……。」
「…愛理?」
「ううん…やっぱ良くないよ。」
「?」
「今までありがとう、私もう1人で帰れるから大丈夫だよ!」
「え?どういう…」
「な・り・た・あ・い・り〜!」
王子の声をかき消す大声で呼ばれた。
廊下から他クラスの女子が何人か顔を覗いていた。
「ちょっと来てくんなあ〜い?」
「あ、ごめん!そういう事だから!」
そう言いながら呼ばれた先に向かった。
内心ありがとう!どこかの誰か!って思った。
あのままだと私はきっと王子の前泣いていた。
私はその人達に連れられ空き教室に入った。
「ちょっとあんたさあ〜何様?」
「真鈴様のこと考えてないでしょ?」
「ううん…いいのみんな、大丈夫!」
「お前のせいで真鈴様がどんだけ辛い思いしてっか分かんねえの?」
…何やら取り囲まれ何かしらのクレームを言われている。
『真鈴様』と呼ばれてる人は知っている。
F組の超絶可愛い子だ。
という事は他の3人もF組の子だろうか。
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