王子の初恋は私な訳ない
「あんたさ〜真鈴様差し置いて岩谷様と仲良くし過ぎじゃね?」
「つーか自分釣り合ってるとでも思ってんの?」
あーなるほど、話が見えてきた。
「あ!もしかして王子の好きな人!?」
そっかそうかそう言うことか!
「見てわかんねえの!?どっからどうみてもお似合いだろ」
「お前が邪魔してんだろ!?」
「本当だ!私めっちゃ邪魔だ!でも違いますよ、彼女さんの事大好きって仰ってましたから!」
「…え?彼女って…?」
「そっかあ、王子の彼女ってこんなに可愛い人だったのかあ!可愛過ぎて王子もちょっと奥手になってたのかもしれませんね!」
ヘラヘラしながらたくさんの言葉が出てくる。
「もしかして王子に告られてまだ返事してないとかですか?それなら早くした方が良いですよ!多分まだ近くにいるから呼んできますね!」
そう言って空き教室を出ようと体を回転した。
『お前が邪魔してんだろ!』そうだその通りだ。
後ろめたいようなことがなかった訳じゃない。
「…近所なんです。」
「は?」
「いきなりなに?」
「…王子と私、たまたま家が近所で私が困ってるのを見かねて助けてくれたんです。」
そうだ、王子からしたらそれだけだったんだ。
「王子が私を好きだと言ってくれたのはきっと人としてと言う意味だったんです。」
声に出して言うのは悲しい、情けない、ダサい…けど私の軽率な態度が彼女を傷付けたんだ。
「ごめんなさい。私が勝手に王子の事が好きで自分にとって都合がいい解釈をしていました。」
そう言いながら私は頭を下げた。
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