王子の初恋は私な訳ない
俺の事嫌い?

頭の中がハッピーな私は
頭にボールが当たっても
お弁当の箸を忘れても
トイレ掃除の当番になっても
ハッピーだった。

そんなある日の昼休み。
「あんた何か良いことあったの?」
と聞かれた。流石澪ちゃん。

「王子が私の名前呼んでくれたの!」
って言ったら、凄い顔をされた。

「・・・うん、ツッコミ面倒だから放置でいいかな。」
と言われてしまった。

「そういえば、王子好きな人居るらしいです♪」
なんてニコニコ話すももりん。
なんとこの前王子に告白した女の子が
「もしかして好きな人居るの?」と聞いたらしい。

「へえ、そうなんだ。どうでも良いけどちょっと誰か気になるねえ。」
「それがね、振られてたらしいの♪」
「え、あの王子が?ってか告ったの?いつ?誰に?」
「さぁ♪噂話なのでどこまで本当なんだか♪」

『俺、愛理の事好きだよ。』

あの時の言葉を思い出す。
あれは私を慰める為に言ってくれた言葉だって分かってる。
けどもしあれが本当だったら・・・なんて
まあありえないんだけどね。

屁理屈なのかもしれないんだけど
イケメンを好きになっても良いのって
可愛い人だけだと思う。

叶わない夢は持ったって無駄だって
ネガティブなんだろうけど
どうしても考えてしまう。

「あれ、あなた今日日直じゃない?」
澪ちゃんの言葉を聞いて黒板を見る。
私の苗字がしっかりと書かれてた。

「やば。忘れてた。」
「なんか職員室とりに来てって言われてなかった?」
「え、そうなの?」
「なんかの資料あるって担任が。」
「しゃあねえ。行ってやるか。」
「無駄に男前なセリフなんだけど、なんなのコイツ」

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