蛹の涙
「じゃあ、席は______」
「あっ、ソイツの隣で。」
そう言って指さされたのは、何を隠そう私である。
「・・・・。」
自由だな、オイ。
「よろしくな!えっと、何さん?」
ニカッという笑顔がまさに似合う、と思う。
それにしても、変わった転校生が来たものだ。
「星空(ツキナシ)。」
何も言わないと逆に面倒くなりそうだったため、名字だけ教えた。
「アナタ、天城をぶっ潰しに来たってホント?」
話しかけないつもりだったけど、やっぱりそれだけは気になってしょうがなかったから、一応、聞いてみることにした。
「当たり前だろ。ホントの事言わねぇ限りは、な。」
いかにも腹の中に黒い虫を飼っていそうなその笑みに
あっ、聞かなければ良かった。
と切実に思った。