蛹の涙
「お邪魔します。」
「おう、邪魔してくれ!」
「・・・・。」
中はとても綺麗だった。
本当にあのボロ家なのかと疑う位に。
だけど、よく見ればあちこち傷んでいるし、年期も感じられる。
グルリと辺りを見回せば、私はソレがすぐに目に入ってきた。
「これって_____」
「ん?あぁ、俺の両親だ。何年も前にこの世から消えちまったんだ。」
「何で_____」
しまった。
瞬時にそう思った。
自分が一番嫌いなことが、自分のナカに入られることであり、首を突っ込まれることだ。
だが、それは私に限ったことではない。
誰しもが自分のことを相手に全て話せるほど、この世界は上手く創られていない。
ましてや赤の他人となれば、その扉が開くことすらないのだから。