蛹の涙

・・・・・。

私たちの間には、暫く、沈黙が続いた。

誰一人として音を出すことなく、この後、お茶でも入れるつもりだったのか、いつの間にか出されていた、コップの中に入れてある氷が

カラン

と音を出して落ちた。

「悠哉!!茶とジュース、どっちがいい?___って、何この雰囲気。」

「昔の話を少しだけしてたんだ。」

「あぁ、そゆこと。」

・・・・・。

朱雀の登場で、アノ何とも言えない雰囲気から脱出したものの、私だけは、まだ、何も言えずにいた。
  


そもそも、何で他人の話を聞いただけでこんなにも感情が揺れ動く?
 
可笑しい。

何を同情している。

何でそんなにも謝罪の気持ちが湧く。

いつの間に、私は他人に心をみせるような人間になった。

わからない。
 
何もかも、わからない。ワカラナイ。

・・・・。

そもそも、何でこんな事を考えている?

・・・・。

あぁ、馬鹿みたいだ。


ふっ、と心の内で自嘲的に笑った時、影が後ろで、笑って私を手招きしていた。



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