かわいい君まであと少し
望月課長を起こして、この腕を退かしてもらおうかとも思った。でも、気持ち良さそうに眠っているのを起こすのもかわいそうに思えた。
今日は日帰り京都行って、プレゼンまでしてきているんだ。これで起こしたら鬼だよね。
しょうがないと思い、そのまま目をつぶった。結局、また眠ってしまった。
また、目を覚ますと明け方で、部屋が少し明るくなっている。体に巻きついて腕も、首の下にあった腕もなくなっていた。
今のうちに起きて部屋に戻ろう。
体を越した瞬間、腕が後ろに引っ張られた。
「まだ、時間平気だから」
「起きてたんですか」
「うん、少し前に」
後ろから抱き締められる形で横になっていた。
「何時に帰ってきたんですか?」
「十一時半」
「お疲れ様です、おかえりなさい」
「ただいま」
背中から聞こえてくる声は低くて、体に響く感じがした。それはとても優しく腕を振り解くことさえ考えられなくなった。
「志穂のこと、ありがとう。大丈夫だった?」
「大丈夫でした。でも、少し大変でした。子供を一人育てるってすごいことだなと思いながら眠りつきました」
「なんだ、それ。うん、でも親ってすごいな。志穂の面倒を見て、俺もそう思った」
抱きしめられている腕に少し力が入り、体がますます密着した。望月課長の鼻先が私のうなじに当たる。
「悠太さん?」
「このまま眠っていいか」
「いいですよ。アラームが鳴るまで、このままでいましょう」
特に返事が返ってくることもなく、首筋に規則的な寝息が掛った。
今日は日帰り京都行って、プレゼンまでしてきているんだ。これで起こしたら鬼だよね。
しょうがないと思い、そのまま目をつぶった。結局、また眠ってしまった。
また、目を覚ますと明け方で、部屋が少し明るくなっている。体に巻きついて腕も、首の下にあった腕もなくなっていた。
今のうちに起きて部屋に戻ろう。
体を越した瞬間、腕が後ろに引っ張られた。
「まだ、時間平気だから」
「起きてたんですか」
「うん、少し前に」
後ろから抱き締められる形で横になっていた。
「何時に帰ってきたんですか?」
「十一時半」
「お疲れ様です、おかえりなさい」
「ただいま」
背中から聞こえてくる声は低くて、体に響く感じがした。それはとても優しく腕を振り解くことさえ考えられなくなった。
「志穂のこと、ありがとう。大丈夫だった?」
「大丈夫でした。でも、少し大変でした。子供を一人育てるってすごいことだなと思いながら眠りつきました」
「なんだ、それ。うん、でも親ってすごいな。志穂の面倒を見て、俺もそう思った」
抱きしめられている腕に少し力が入り、体がますます密着した。望月課長の鼻先が私のうなじに当たる。
「悠太さん?」
「このまま眠っていいか」
「いいですよ。アラームが鳴るまで、このままでいましょう」
特に返事が返ってくることもなく、首筋に規則的な寝息が掛った。