かわいい君まであと少し
「これ、昨日お返しするの忘れちゃって」
「そのまま忘れて持っててくれたほうがうれしかったのにな」
「何言ってるんですか」
 私の手から合鍵を受け取り「きっと、そのキーホルダーに戻るよ」と言って、ポケットにしまった。
「気障ですね」
「違うから、予知能力」
「はい、はい。じゃあ、部屋に帰ります」
 部屋に入り鍵を閉めると、隣のドアが閉まる音がした。
 シャワーを浴びて、明日の準備に取り掛かった。
 まず大きめのお弁当箱。あ、まだ段ボール箱の中だ。レジャーシートは持ってないな。望月課長も持ってなさそうだし。行く途中の百円均一かスーパーで買えばいいか。
 押入れを開けて、すぐ必要ではない日日用品を入れた段ボール箱を取り出した。ガムテープをはがし、蓋を開ける。エアークッションを取り出すと、お目当てのお弁当箱が出てきた。姉と色違いで買ったお弁当箱。私が黄色で、姉がピンクだ。小さめのお重箱サイズの二段重ね。これで充分だろう。それと志穂ちゃん用のかわいい感じのお弁当箱も見つけることができた。
 サンドイッチにするか、おにぎりにするか。せっかく炊飯器を買ったんだから、おにぎりのほうがいいかな、
 望月課長の部屋の冷蔵庫と自分の冷蔵庫に入っているものを思い出す。
 昨日、聡さんが「余ったからどうぞ」と言って、分けてくれた食材もあるし大丈夫だろう。


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