かわいい君まであと少し
「わかりました」
 望月課長の気持ちを聞いて、ちゃんとしようと思った。
「ごめん、パスタ冷めちゃったかな」
「大丈夫ですよ」
 ペスカトーレは味がしっかりしていて、少し冷えたぐらいでは美味しさが半減することはなかった。
 パスタを食べ終えると、吉田さんと井上さんが出てきた。
「料理はいかがでしたか?」と井上さんが言った。
「とても美味しかったです。今度オープンしたら、また来ますね」
 吉田さんは帽子を外し「またのご来店をお待ちしております」と言い、井上さんは吉田さんの顔を見つめていた。
 この二人、うまくいってほしいな。心からそう思った。
 お店を出て、車に乗り込んだ。
「少し海沿いをドライブしてから帰ろうか」
「いいですね。海見るの久しぶり」
 窓の外に流れる海を眺める。風がなく、波は穏やかだった。


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