かわいい君まであと少し
「はい」
「あの、怜子です」
 ドアが開くと、あの濃紺のパーカーを着た望月課長がいた。
「どうした」
「さっき聡さんにもらってきました」
 バッグの中からあの白い封筒を出し、手渡した。
「その写真を見て、自分の気持ちに覚悟がつきました。このアルバムみたいな家族を悠太さんと作りたいです」
「それ、言ってる意味わかってるか?」
「え?」
「逆プロポーズしてるぞ」
 望月課長が持っているアルバムを見て、自分が間違えたことを言ったに気がついた。
「違うんんです。大筋はあってるんですけど、アルバムではなくて、その私だけが写っている写真のほうです。私、写真に撮られるのすごく苦手で、親が撮ってくれた写真も不機嫌な顔をしてることが多くて。でも、この写真は何となく悠太さんが私を撮ったことわかったんです。それでもこうして笑えているのって、信頼していて好きだからです。たぶん、あの会議室で告白されたときから私の恋は始っていたとんだと思います。気がつくのに時間かかちゃってごめんなさい」
 望月課長は私の頭を撫でたあと、力強く抱き締めてくれた。
「やっと怜子が俺の彼女になってくれた。怜子、好きだよ」
「悠太さん、私も好き」
 玄関に体を引き入れられる。望月課長がゆっくり近づいてきた。目を閉じると、唇に柔らかい感触が触れる。


 
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