かわいい君まであと少し
 唇を離すと、悠太さんがじっと見つめてくる。
「なんですか?」
「怜子、今すごくかわいい顔してる」
 そんなことを言われると、どうすればいいかわからなくなる。恥ずかしくて視線を外す。
「だめだよ。こっち見て」
「恥ずかしんです」
「今、一番かわいい怜子に、一番近くにいるのは俺なんだ。それがたまらなくうれしい」
 どうしてこの人は恥ずかしい言葉を簡単に言ってしまうのだろう。
 額と額を合わせ、ますます視線が近づいた。
「かわいい君まであと少しだ。もっと近づきたいけどいい?」
「どうぞご自由に」
 私はまた目を閉じる。明日はもっと悠太さんを好きになる気がした。
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