かわいい君まであと少し
「近くのスーパーでビール買いに行った」
「えっ? お義兄さん、車でしょ」
「大丈夫よ。自分はノンアルコール飲むって言ってた」
「そっか」
 テーブルを拭きながら、姉に例のジンクスのことを聞いてみた。
「ああ、それね。杉田さんも最初は偶然と思っていたらしいけど、私も結婚することになったからね」
「でも、私がそのジンクスをなくしちゃうと思うけど」
「別にいいんじゃない。偶然がこの部屋に重なっただけなんだから。怜子は好きに生活すればいいのよ」
 お箸やグラスを並べながら、それもそっかと思い、特に気にしないことにした。
 三人でそばを食べて、少しゆっくりしたあと姉と竹井さんは帰っていった。
 静かになった部屋で、片付けを少しするか、寝るか迷った。
 生活に必要なものは二人のおかげで片づけることはできたし、あとはちょっとした雑貨品や服だけ。
 今日ぐらいは早く寝よう。土日もあるんだし、いい加減クマを解消しないと。
 ベッドを整えてからお風呂に入った。髪を乾かして、ベッドに横になり天井を見つめた。寝具周りを全て新しくしたから、まだ自分の体も寝具も馴染んでいない。
 それでも引っ越しの疲れからか、すーっと意識が遠のいた。


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