かわいい君まであと少し
【3】先輩、ゆた、それと
――ピッピッピッピッー、ピッピッピッピッー。
 けたたましい機械音で目が覚めた。
 うるさい……。
 スマホに手を伸ばして、アラーム音を止めた。
「あっ、ああー、眠い」
 眠いけど起きないと。
 無理やり体を起して、カーテンを開け、窓を全開にした。
「寒っ」
 早朝の風は意外にもまだ冷たかった。
 洗面所で顔を洗い、服を着替えた。くちゃくちゃの寝具をきれいに直し、ベッドの下にある収納ケースからトートバッグを出した。
 必要なものは志穂ちゃんのお母さんが用意してくれているからいいけど、ハンドタオルとフェイスタオルくらいは私も予備で持っていっておこう。あとウェットティッシュやごみ袋はあったほうがいいよね。
 あったらいいかなと思うものをバッグの中に詰め込み、出かける準備をした。
 そして、炊飯器から炊いたご飯を小分けにしてラップにくるみ、タッパの中に詰める。
 うわ、もう六時四十分だし。
 洗面所に行って、軽くメイクをする。そして戸締りをしてから荷物を持ち、たった六時間前までいた部屋のインターフォンを押した。
 ドアが開くと「おはよう」と笑った望月課長の顔が現れた。
「おはようございます」
 部屋に上がると、志穂ちゃんは教育番組を見ていた。
「志穂ちゃん、おはよう」
 私に気が付いた志穂ちゃんは抱き付きながら「おはよう」と言ってくれた。

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