かわいい君まであと少し
買いたかった食材を全て買い物かごに入れた後「米も買わないとな」と言って、五キログラムのお米を下の段のカートに乗せた。
「これで終わりだな」
「はい。車に乗りますか?」
「大丈夫。さっき荷物を入れたとき確認した。余裕だよ」
「そうですか。あの、食材は私も半分お金出しますから」
「いいよ、これぐらい」
やっぱりと思った。私がお金のことを言えば断るだろうと思った。ここは譲れない。ちゃんと話さなくては。
「だめですよ。私も一緒に食事をすることになるんですから、ちゃんと自分の分は自分で払います」
「いいよ。あ、昨日と今日の食事代、俺払ってないよな。今日の分は俺が払う。それでいいだろ」
そういう切り返しか。そこを言われると、なんと返すべきか。
「そんな困った顔するな。怜子が奢られて当たり前みたいな図々しさを持っていないのも、こういうことに関してキチンとしたいって思う気持ちもわかってるよ。ただ、今回は俺が料理をしないから、怜子が手伝ってくれてるんだろ。なら、食費代くらいは甘えなさい」
望月課長は志穂ちゃんを撫でるみたいに私の頭を撫でた。そのときの表情があまりに優しくて、くすぐったくなった。だから私は「はい」しか言えなかった。
「うん、それでいい。レジ込んでるみたいだから、向こうの荷物を入れるところで待ってて」
「はい」
レジへ向かう望月課長の背中を見つめた。
「ずるいな……」
その先に続く言葉がそのまま口から出てしまいそうで唇に力を入れた。
「これで終わりだな」
「はい。車に乗りますか?」
「大丈夫。さっき荷物を入れたとき確認した。余裕だよ」
「そうですか。あの、食材は私も半分お金出しますから」
「いいよ、これぐらい」
やっぱりと思った。私がお金のことを言えば断るだろうと思った。ここは譲れない。ちゃんと話さなくては。
「だめですよ。私も一緒に食事をすることになるんですから、ちゃんと自分の分は自分で払います」
「いいよ。あ、昨日と今日の食事代、俺払ってないよな。今日の分は俺が払う。それでいいだろ」
そういう切り返しか。そこを言われると、なんと返すべきか。
「そんな困った顔するな。怜子が奢られて当たり前みたいな図々しさを持っていないのも、こういうことに関してキチンとしたいって思う気持ちもわかってるよ。ただ、今回は俺が料理をしないから、怜子が手伝ってくれてるんだろ。なら、食費代くらいは甘えなさい」
望月課長は志穂ちゃんを撫でるみたいに私の頭を撫でた。そのときの表情があまりに優しくて、くすぐったくなった。だから私は「はい」しか言えなかった。
「うん、それでいい。レジ込んでるみたいだから、向こうの荷物を入れるところで待ってて」
「はい」
レジへ向かう望月課長の背中を見つめた。
「ずるいな……」
その先に続く言葉がそのまま口から出てしまいそうで唇に力を入れた。