かわいい君まであと少し
 聡さんは納得した顔をし「わかりました」と言って、封筒を受け取ってくれた。
「先輩、ありがたく使わせていただきます」
「ああ」
 聡さんは封筒をしまい「コーヒー入れますね」と言って席を立った。
「ありがとう。俺の気持ち代弁してくれて」
「間違っていませんでしたか?」
「完璧でした」
 望月課長を見ると視線が合い、お互いほほ笑んだ。
「コーヒー、どうぞ」
 聡さんがテーブルに三つのマグカップを置いた。
「あの、このノート、志穂ちゃんのお母さんが書いたものですね」
「ああ」
「志穂ちゃんの生活リズムだと夕ご飯は六時ですよね。二人は仕事が終わって迎えに来て、自宅に帰ったらもう六時じゃありませんか?」
 望月課長と私は二人で顔を見合わせた。
 そうだ、そうだよ。仕事を五時に切り上げてもの、ここに着くのは五時半だ。
「なので夕ご飯はここで食べましょう、みんなで」
「それがいいかもな。すまない、いろいろ世話をかけて」
「いえ。志穂ちゃんの話を聞いたとき、ある程度のことは予想した上で引き受けたので気にしないでください」
 聡さんがなんかもう天使に見えてきた。すごくいい人だ。

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