かわいい君まであと少し
 望月課長は志穂ちゃんを抱き上げた。
「そうですね。夕ご飯のこともありますしね」
 荷物をまとめて、抱っこされたままの志穂ちゃんに靴を履かせた。
「じゃあ、明日からよろしく。八時頃に志穂を預けに来るけど」
「わかりました。怜子さん、念のため連絡先教えてください。先輩と連絡が取れなかったときのために」
 赤外線でお互いの連絡先を交換した。
「怜子、俺のも教えておく」
 望月課長がスマホを近づけてきた。
「知ってますよ」
「それは会社用のだろ」
「そうでした」
 営業部は会社から携帯電話が支給される。私のような営業アシスタントには支給されない。
 望月課長の電話番号とアドレスを登録した。
「今日はありがとう。明日からもまたよろしく」
 聡さんは「はい」と言って、志穂ちゃんの目線に合わせるように屈み「また、明日ね。バイバイ」と言う。
「バイバイ」
「聡さん、今日はいろいろとありがとうございました」
「いえ」
 玄関で挨拶を済ませて私たちはアパートへ帰った。

 夕ご飯は肉じゃがを作った。今日買ったばかりの炊飯器を使って炊いたご飯は美味しかった。望月課長も志穂ちゃんも肉じゃがを美味しそうに食べてくれた。
 それから志穂ちゃんをお風呂に入れて、寝かし付ける。そして、望月課長がお風呂から出てくるまで待つ。

< 86 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop