かわいい君まであと少し
 私も望月課長も昨日は必死だったけれど、今日は少し余裕を持ってできた。
 髪を拭きながら私も望月課長はビールをクイッと飲んだ。
「美味しそうに飲みますね」
「怜子も飲む?」
 テーブルを挟んで向かい座る私に聞いてきた。
「いいです」
「そうか。怜子、これからよろしく」
「なんですか、改まって」
「ちゃんと言っておきたかったから」
 首にかけていたタオルとテーブルに置き、望月課長は何かを探し始めた。
「タバコですか?」
「あ、違う」
「嘘」
「違うって」
「お酒飲むと吸いたくなるんですか?」
「まあ」
「ほら、やっぱりタバコだ」
「誘導尋問するな」
 望月課長はばつの悪そうな顔をしながらビールを飲んでいる。
「禁煙、上手くいきそうですか?」
「まあまあだ。酒飲むまではタバコのこと忘れてたからな」
「じゃあ、ついでに禁酒もしてみればどうですか?」
「それは無理」
 望月課長はお酒が強い。飲み会でも、かなりの量を飲んでいるのに何も変わらない。
 誰かが望月課長を酔わせようとして、アルコール度数の強めの酒を飲ませたが変化はなかった。逆に酔わせようとしていた人のほうが酔い潰れてしまっていた。
「じゃあ、私もそろそろ部屋に戻ります。何かあったら連絡ください」

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