かわいい君まであと少し
「わかった」
 望月課長も玄関に出て、昨日と同じように私が部屋に入るのを見届けようとしている。
「明日も七時に行きますね」
「うん、おやすみ」
「おやすみなさい、悠太さん」
 望月課長は一瞬、目を見開いた。そして、すごく甘ったるい顔になり「怜子」と一言つぶやいた。
 軽く手を振って、部屋に入り鍵をかける。そのあと隣からドアの閉める音が聞こえた。
 深い意味はないけど何となく名前を呼んでみたくなった。一日の最後ぐらい、名前で呼ぶくらいはいいかもしれない。
 さっきの望月課長の顔を思い出し、少しにやついてしまった顔を元に戻し、部屋に上がった。



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