ピュアに恋して♪


高校に入って彼女は明るくなった。
何が彼女をそうさせたのか。



俺のおかげだと、彼女は言うけれど。




それは、違う。



「ごめん、なんでもない」

「あ、私こっちだから。また学校でね」

「うん。また」




ひらひらと手を振られ、ぎこちなくそっと手をあげた。
彼女は嬉しそうににこっと笑うと颯爽といってしまう。

俺の邪な考えは、あっけなく打ち消された。



“あれよりはましだ”
そんな感情に、なれることはなかった。




一時、そう思えただけでただ、虚しかった。



彼女はまっすぐで、正直でとても綺麗だ。




俺より不幸なはずがない。




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