ピュアに恋して♪
行き場を失くすように、矢野さんが前に立つ。
背の高い矢野さんに、圧迫感を感じる。
「亜子ちゃんも、カラオケ苦手ならさ、二人で抜け出さない?」
「えっ?」
「静かで、ゆっくり話ができるとこ行こうよ」
微笑みながら矢野さんの顔が近づく。
こ、怖い・・・。
「わ、私っ、いいです。部屋にもど・・・」
「いいじゃん。どうせ、あの子たちともそんな仲良くないんでしょ?見てたらわかるよ」
抜け出そうとした私の腕をがっしりと掴み引き止める。
振りほどこうとしても、男の人の力にはかなわなくて。
「ね?行こうよ」
嫌!
だ、誰かっ!
「お客様。他のお客様の邪魔になるのでやめてください」
低く、抑揚のない声が響く。