ピュアに恋して♪


「・・・昔から、あいつ、どんな時だって俺に譲ってきたんだ」

「え?」

「お菓子だって、ゲームだって。・・・なにも欲しいって言わずに、全部おれに譲ってた。二人で分け合ってとか、じゃんけんでとか、そんな考える手段も何もなく・・・」



苦しげな秋人くん。
全てを譲られることが、嫌だったのかな。

本当の兄弟だったら。
きっと、ケンカになってる。

お兄ちゃんだから自分のだ。とか理不尽さに弟が悔し涙を流したり。
順番で使おうと相談したり。

そういうやり取りの結果どちらのモノになるかが決まっていくんだろう。




「そういうの、すげーむかつくんだ。そういうあいつが嫌いで。苛立ってて。それで・・・どこまで、あいつは譲るんだろうって・・・、あいつに、無理だって言わせたかった・・・」

「・・・そっか」

「わけわかんねぇ。なんなんだよ。自分の彼女まで譲る気かよ。ふざけんなよ」



拳が痛いくらいに握られて。
憤りを感じている秋人くんの姿が痛々しい。


きっと、ずっと悩んできたんだ。
ずっと苦しんできたんだ。


きっと、秋人くんはおーちゃんとちゃんと兄弟になりたかったんだ。





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