ピュアに恋して♪


――もしもしっ、兄ちゃん?




電話の向こうの秋人は、なぜか泣き声で。
いつからか呼ぶ事のなかった“兄ちゃん”と呼んだ。


それが、なにやら胸騒ぎを掻き立てて。




「どう、した」

――どうしよ、俺・・・っ、兄ちゃん、助けてっ




電話の向こうの秋人は混乱していて。
泣き声というか、本気で泣いているんだとわかる。




「おい、秋人!?どうした?しっかりしろ!」

「・・・?秋人くん、どうかしたのか?」



俺の様子に、ただならぬものを感じた隆弘も、俺の電話に耳を近づける。
俺は電話をスピーカーにし、隆弘にも聞こえる状態にした。


自分だけでは、対処の仕方がわからなかった。



「秋人?どうした?」



改めて、落ち着いた声でそう尋ねた。




< 169 / 231 >

この作品をシェア

pagetop