ピュアに恋して♪
「・・・兄ちゃん」
踵を返そうとした俺を呼ぶ声。
動転しているわけでもないのに。
兄ちゃんと、呼んだ秋人に、俺の方が動揺してしまう。
兄ちゃん。
なんて呼ばれる資格なんてないのに。
俺は、秋人の兄貴じゃない。
「俺、兄ちゃんと同じ高校に行きたい」
「・・・え?」
「行きたいんだ、俺。ほんとは、ずっと、兄ちゃんに構ってもらいたかった」
俺は、間違っていたのかな。
「もっと、兄妹みたいなこと、したかった。ケンカしたり、遊んだり・・・ほんとはもっと」
ぐ、と握りしめた秋人の手に、そっと亜子が手を重ねる。
それに勇気づけられたように秋人はまたまっすぐ俺を見た。