timetraveling
空を描こうね
今日は朝から雨。雨。雨。
春雨は長くは続かないってまことは言うけどなかなか止まない。

まことはずっと画廊にこもっている。なにやら締め切りがどうとか言ってる。

優子さんのお父さんが社長を勤める大手出版社「大橋出版」の専属イラストレーターとして毎週締め切りとの戦いだけど、まことはマイペースだから苦にならないみたい。


「しかしよく降るなぁ。なぁ咲希」

「よくふゆねぇ」

「咲希は大人になったら何になるのかなぁ~(笑)絵描きにでもなるか?」

「えちゃち、えちゃち」

「決まりだな(笑)じゃ、ちゃっちゃと終わらせて散歩行くか」

「さんぽいくねぇ」

時計が正午を報せる鐘を鳴らした頃、まことは咲希を腕抱っこして画廊から戻ってきた。
「寝ちゃったよ」

「あらあら(笑)」

朝、まことが宣言した通りすっかり雨は上がっている。

「何見てんだ?」

「あ、これ?まことと初めてデートした時のアルバム」

「確かサファリパークだったっけ?」

「うん。あの…咲希が大人になっても、私とデートしてくれますか?」

「もちろんです(笑) 約束するよ」
















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