timetraveling
「まことの絵が…?」

「そうなの。これ、とっても名誉な事あるね」

「なんで中国人なんだよ。」

世界芸術賞―
世界最高峰の芸術作品にのみ与えられる、名誉ある賞。つまり芸術のワールドカップってとこね。と優子さんはかいつまんで説明してくれた。

「下らない」

「え?」
「は?」
「にゃ?」

「ありゃ、ただの空の絵だ。あんなので世界芸術賞もらった日にゃ他の出展者に頭が上がらないぜ。だから取り消してこい」

「はぁ!?あんたバっカじゃないの?一生に一度あるかないかの幸運じゃない!これ逃したら後がないかもしれないんだよ!?」

「あのなぁ…あれは青と白を空みたいに描いちゃいるが、本当は空じゃないんだぜ?」

「まこと…」

「空じゃ…ない…?」

「ああ。あれは咲希の瞳さ」

「にゃ?」

「咲希ちゃんの?」 

「瞬間描写ってあるだろ?あれの事さ。一瞬の出来事をくまなくキャンバスに転写したラフ画だよ。俺は最高傑作で勝負がしたいって思う。あくまでもラフ画はラフ画だから」

周りが一瞬時を止めて優子さんが口火を切る。
「…ったくもう、カッコつけなんだから。わかったわ。出展辞退しておく。だけどねまこと、あの作品にはあたしが大賞をあげる。辞退しないでね」

「たいした大賞だな(笑)」

「にゃー♪」






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