timetraveling
それは突然やってくる
「ゴメンなさい…わがまま言っちゃって」

「いいのよ。昔っから変わらない奴だけど、そういうとこ百も承知だもん。よく言えば自由奔放、悪く言えばガキ。だけどそこがアイツのいい所なの」

私は苦笑いするしかなかった。優子さんは幼稚園、小中高がまことと同じだったから、私よりもずっとまことへの理解が深い。そういう所に少しだけ嫉妬してる自分がいるのも事実だから。

「だけどさ、アイツのそういう所も理沙ちゃんはちゃんと抱きしめてあげてる」

「優子さん…?」

「なんか嫉妬しちゃうなぁ…(笑)」



「咲希、そっち溝川。流されちゃうぞ」

「みじょきゃわぁ♪」

世界芸術賞か…ちょっとカッコつけすぎたかなぁ…
もし賞をもらってたら、理沙も喜ぶだろうし優子の会社も名が上がっただろうけどこればっかりは仕方ないな。
自分で自分を納得させてまことと咲希は河原を散歩している。

「あら!珍しい。咲希ちゃんこんにちは」
向こうからミキが歩いて来るのが見える。

「やぁミキちゃん、久しぶりだね」

「こんにちはまことさん♪」
小花柄のフリルスカートに淡い紫のスプリングコート。
ミキの着飾りようから、今日はデートなんだなと分かる。

「優子先輩に聞きましたよ!世界芸術賞受賞おめでとうございます!」
キラキラした笑顔が眩しく見える。

「いや、辞退したんだ」

「え!?」



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