REGRET
17
”ピンポーン”
「お待たせ希。」
「うん!行こっか!」
2人は近くの神社で毎年、年を越していたのだった。
「今日はみんな来るの?」
「そう!今日は5人全員来るよ!」
「そっか...。」
菫...。
希は気づいていた。
「あ、来たよ拓海くんたち!」
「おーい!希ちゃ〜ん!菫ちゃ〜...ん?」
4人は合流した。
「あれ?空くんは?」
「空はさっき、やっぱり今日はどうしても行けないって言ってた!」
「そうなんだ...。」
希は菫の顔を伺った。
「それでさ、どうしても行けない用事って菫ちゃんじゃなかったんだ〜!」
「え?どうして?」
「またまた菫ちゃんってば〜!」
凛は菫を肩でつついた。
「凛...。」
菫を追い込む凛を希が止めた。
「菫...。」
「え?」
菫は希を見て言い出し決心がついた。心を落ち着かせた。
「私...。空くんとは付き合ってないの...。」
「え...。」
凛は驚きのあまり言葉を失った。
「え?それってどういうこと?」
状況をつかめない拓海が問いた。
「や、普通に付き合ってないだけだよ?」
「え?じゃあクリスマスは?イルミネーションは?」
「え?クリスマスは家で家族と過ごしたけど...?」
「空は?」
「空くん?わかんないよ。」
「文化祭の終わった後は?告白されたっしょ?」
「え?神田くんにはされて...。」
「は?神田??」
拓海は状況がどんどんつかめなくなっていった。
「うん...。」
「え?空は?」
「空くんとは会ってないけど...。」
「そんなことないだろ!あいつピーチティー持って走って行ったぜ?」
「え...。」
あのピーチティーってやっぱり...。
だがしかし凛には話の流れがつかめていた。
急に凛は菫の肩をつかんだ。
「え?」
「ねぇ。菫ちゃん...。私のせい...?」
重苦しい空気を漂わせた。
「え?どういうこと?」
「空くんと付き合っていないのは私のせい?」
「え...。それは...。」
菫は昨年の事件のことを思い出した。
「神田から全部聞いたんでしょ?だから私に気を遣ってるんでしょ?」
「え...違うよ。ただ私が言い出せないだけで...。」
「それは嘘だよ?」
「え...。」
「空が苦しい時に私は空のそばにいた。そして空を変えた。それを聞いて菫ちゃんは優しいから私に気を遣ってる...そうでしょ...?」
「でも...。」
「それは違うよ。」
凛は続けた。
「確かに空が苦しい時に私はそばにいた...。少しでも空を変えようと思ったよ。でも変わらなかった。」
「え?変わってるよ」
「ううん。それは違うよ。」
「なんで?入学当初の空くんと、今の空くんは変わってるよ?」
「変わったよ。でも私じゃない...。菫ちゃん、君だよ〜!」
「え?私?そんなことない...。」
「いや!私は空のそばにずっといたんだから分かるんだよ!」
「...。」
菫は返す言葉がなくなった。
「空は菫ちゃんにだけは心を開いている!菫ちゃんが開いたんだよ〜!自信をもって〜!」
「凛ちゃん...。」
「だからさ!私に気を遣わないで!」
凛は菫の頭を右手で軽く叩いた。
「前にも言ったじゃん!」
「凛ちゃん。」
菫は涙を流した。それにつられて凛も涙を流した。
「さぁ、菫ちゃん!今、多分お墓にいるから行きな!」
「ぅ’’ん...。」
菫はお墓へ走り出した。ただ夢中に空の元へ。
3人は菫の姿を見届けてた。
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