REGRET

3

今日からは高校に入って初めての授業がある日だ。1時間目からさっそく数学であった。
私たちは担当の先生に御用聞きをしに行った。職員室に行くのは初めてであった。
私たちは先生のもとに行くと、優しそうなおじいちゃん先生だった。
授業内容もなかなかわかりやすく、面白い先生だった。
午前中の授業はすべて教室での授業となった。
昼休みに入ると生徒がどんどんと出て行った。
「なんだろう?」
私は希とお弁当を食べながら話した。
「多分購買じゃないかな?」
そう。高校に入ると購買というものがあるんだった。
「明日、購買で買ってみようよ!」
「うん。そうしよ。」
私は希の行きたくて仕方がない笑顔に、私も少し興味を持った。
そして今日の最後の授業は体育。ちょっとダサ目のジャージを着てグラウンドに出て行った。
体操をした後、2人組になって、腕立てなどの体力作りをやる授業だった。私は希とペアになった。
「ねえ、ここ入れてもっらっていい?」
ショートカットの明るい感じの子が1人余っていたらしくて私たちに頼んできた。
「いいよ!入って入って!」
希はそう言うと、3人での体力作りが始まった。
「私は、菊池凛。よろしくね!」
菊池さんは希と性格が似てるような気がした。私たちも自己紹介すると、菊池さんと希はずっとしゃべっていた。私は自己紹介以後は話を聞くだけで話はできなかった。

学校が終わると今日の放課後も部活動の見学ができた。
「今日もテニス行くの?」
菫は希に問いかけた。
「ごめん。今日は帰らない?」
希が顔を赤くし、気怠そうだった。
「希、大丈夫?熱ありそうだよ?」
「大丈夫。帰って休めば治るら...」
そう言うと菫は希の家まで送っていった。
「ありがとう...。」
「ゆっくり休んでね。」
希はいつものような元気はなく、そのまま家に入ってしまった。私は心配したが、希なら大丈夫だろうと思った。

次の日いつものところで待っていたら、1通の着信音がなった。希からだ。
"ごめん...今日行けそうにない。"
えっ。いつも私の支えになってくれる希が今日はいない。私も急に熱が出てきそうな気がしたが、仕方ないので渋々学校へ行った。

幸いにも今日は数学がなかった。1時間目は生物だった。私は生物室の位置に少々不安も感じつつも、生物室に向かった。別棟ということもあり、案の定迷ってしまった。こんなときいつもなら希がいてくれる。でも今日はいないのだ。私は焦った。
「君そんなに焦って、教室でもわからなくなっちゃった?」
図星。そこにいたのは背が高く、おとなしそうな瞳をした男子だった。
「どこへ行きたいんだい?」
「え、生物室です。」
「そこの階段で1番下まで降りると右手にあるよ。」
そう言うと男子生徒は過ぎ去ってしまった。今の人は男子だったけれど、緊張しずに話すことができた。それは私が混乱していたからなのか、男子に少し慣れてきたのかはわからなかった。
授業開始ぎりぎりに間に合った。あの男子生徒がいなかったらやばかった。とてもうれしかった。
そして昼休みになると私はあることに気が付いた。そういえば今日は希と購買に行くって約束してお弁当を持っていなかったのだ。しかし私は1人で行く勇気はなかった。今日はなしで我慢しようと読書を始めた。でもお腹がすいて集中力もなかった。どうしようもできなかった。
「菫ちゃ~ん!ここいい?」
振り向くとそこにいたのは菊池さんだった。
「ど、どうぞ。」
あわてて私は返事をした。
「私もさお弁当ないから一緒に購買行こ!」
「え。行ってくれるの?」
私はものすごくうれしかった。さっそく財布を手に取ると購買へ向かった。
「菊池さんありがとう。」
「えっ?なにが?私も行きたかったし~!」
菊池さんが本当は今日お弁当を持ってきているけど、わざわざ私に合わせて行ってくれていることに気づいていた。
「後、私たちは昨日から友達なんだから、名前で呼んでよ~!」
昨日全然しゃべってないのに友達だと言ってくれたのが私にはうれしかった。
「うん、凛ちゃんよろしく。」
私は高校に入って初めての友達ができた。
購買に着くと、なかなかの人集りだった。
私たちはやっとの思いで買うと教室に戻ってきた。私は凛ちゃんと二人で昼食を食べた。
「菫ちゃんと希ちゃんってうらやましいな。」
「えっ?」
いきなり凛がいった。
「だって、毎日一緒にいるし、仲良しだし、いつも楽しそう〜」
「凛ちゃんもこれからは一緒だよ。凛ちゃんはもう私たちの友達だよ。」
私はちょっと上から目線なことを言ってしまった。
「えっ?うれしい〜!ありがとう〜!」
凛ちゃんは一瞬驚いていたが、その後は笑顔で返してくれた。

今日はいろいろあったが、無事終わり、放課後を向かえた。今日も部活見学の日だったが、今日は1人で帰ろうと思った。
「菫ちゃ〜ん!」
私が玄関に出ようとした時、凛が走ってきた。
「菫ちゃんは何部に行くの〜?」
「テニス部に入るけど、今日は家に帰るよ。ちなみに凛ちゃんって何部に入るの?」
菫が凛に聞いた時だった。
「おい凛。早く行くよ。」
そこに立っていた男子は菫が今日は生物室を聞いた人だった。
言わなきゃと思った。
「あ、の、先ほどはどうもありがとうございました。」
「あ、さっきの?いよいよ!凛行くぞ。」
「はいはい〜!じゃあばいばーい菫ちゃ〜ん!」
そい凛が言うと、歩き出していた男子生徒がいきなり止まり幻を見るかのように私を凝視してきた。
「早く行くよ〜!」
そう言って凛ちゃんは男子生徒をせかして引っぱって行ってしまった。
さっき見られたのはなんでだろう?
顔のなんかついているかと手ではらった。私は凛ちゃんたちの背中を見ながらさっきの男子生徒は凛ちゃんの彼氏なのかなと思った。
そう思いながら今日は一人で帰った。帰りの途中のコンビニを見ていたらふとあることに気がついた。今日友達ができたことを希にいち早く伝えたかったのだ。菫はコンビニでプリンを買って希の家に行った。
インターホンを押すと中から希が出てきた。
「あれ?どうした?」
「希に聞いて欲しいことがあって。もう大丈夫?」
「うん!大丈夫だよ!まあとりあえず中入って!」
菫は希の部屋に入った。
「ねえ、私ね今日凛ちゃんと友達になったよ!」
私は無我夢中に言った。
「よかったじゃないか!明日から3人だね!」
希も笑顔で喜んでくれた。そして私たちは買ってきたプリンを食べた。
今日のプリンは今までで1番おいしく感じた。
「希、後ね。今日生物室へ行く途中男子生徒に助けられちゃった。」
「えっ...?そーなの...?よ、よかったじゃないか。」
希は返しに困ったようだったのか、無理やり返した。
「おじゃましました。また明日ね。」
「菫!今日来てくれてありがとう。」
「うん!」
私もうれしかった。
そうやって家に帰ると、私は自分のベットの上で今日のことを再び振り返り、明日の学校が楽しみになった。
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