REGRET
8
「なんで夏休み後1週間しかないのにこんな時に勉強会なんだよ〜。」
「ばかだね〜!宿題が全部終わってないでしょ〜!特に拓海は〜!」
今日は空の家に5人で集まって勉強会することになったのだ。
「だってこんな問題できっこないよ〜?」
「確かにわからんよーな...。こーゆー時は菫ちゃん〜!」
「えっ...。」
先日集まる約束をしたときー

”『菫ちゃん明日これる〜?』
『もう終わったから私はいいかな?』
『だめ〜!菫ちゃんが来ないと始まらないの〜!』”

ーやっぱりそういうことだったのだ。
またこの2人に教えると思うと、今すぐにでも逃げ出したいぐらいだった。
「菫ちゃん〜!」
「あっ、でも希の方ができるよ。ほら、空くんとかさ。」
私は希や空くんに助けを求めようとしたが、2人は明らかに聞こえてるはずなのに無視した。
仕方なく菫は2人に教えることにした。
「菫ちゃん〜!菫ちゃん〜!」
「菫ちゃ〜ん!」
「えっ、えっ...。」
拓海と凛は菫、菫の連発だった。
「あーと、みんな喉乾いたっしょ?俺ちょっとジュース買ってくるね。」
空は近くにあるコンビニまでジュースを買いに行った。
「なー凛、俺もちょっと散歩して来るわ〜!」
「あっ!いいね、私も〜!」
拓海と凛は散歩をしに行ってしまった。残ったのは菫と希の2人だった。
「みんな行っちゃったね!」
「確かに...。あっ。」
菫は空の机の上に飾ってあった写真立てを手に取った。
「希。空くんにお姉ちゃん?妹?のどっちかがいるよ。」
「え?うそ??あっ、本当だー!かわいいね!」
「でもこれいつ頃の写真だろ?空くんもまだ小さい。」
「確かにー!めっちゃかわいいね!中学のときかな?」
2人は空の小さいころの写真を見ていた。
「ただいまー。買ってきたよー!」
空が買い物から帰って来た。
「何見てるのー?」
「あっ、空くんこの写真いつ頃のやつ?」
「....。」
空の顔が急に真剣な眼差しになった。
「空...くん?」
「あっ...。」
空は再び温顔になった。
「ジュースでも飲もうよ?はいこれ...。あっ...。」
空は動揺し持ってたジュースを落とした。
「ごめん、ごめん。」
空は無理やり笑顔を作り続けた。
「ただいま〜!」
拓海と凛が帰って来た。
「おかえりがないじゃ...って、空、お前...。」
拓海は空の視線の先にあった菫の持っている写真立てを見て思わず声を漏らした。
「今日はみんな帰りましょーか...。ね、菫ちゃんも希ちゃんも...。」
凛の焦った表情だった。
4人は急いで荷物をまとめた。
『おじゃましましたー。』
4人は急いで空の家を出て行った。
空はみなが帰ると菫の持っていた写真立てを手に取り見続けた。そしてベットの座り背を壁につけて涙を流した。

4人は空の家を出ると何も話さずに黙々と歩き続けた。
「じゃあ私たちこっちだから!またね...。」
『ばいばい』
拓海と凛は右へ曲がって行った。
「ねぇ、希。」
「ん?」
「私たち空くんにひどいことしちゃったかな?あれ見ちゃいけなかったのかな?」
「さぁ...?でも何かあるよね。なんだろ?」
菫はその場を立ち止まり空の家の方を眺めた。空くん...。
「希、やっぱり心配だよ...。謝った方がいいって。」
「今日は1人にさせてあげた方がいいと...あっ...。」
菫は希の返事を聞く前に手を引っ張っていた。

”ピンポーン”
「はーい?」
そこで出てきたのは空のお母さんだった。
「あの、空くんいますか?」
「あー、空?さっきお墓に行ったよ!」
「あ、ありがとうございます。」
2人はすぐに近くのお墓に向かった。やはり空はお墓にいた。
「空くん...。」
「あ、菫さんと希さん。どうした?」
「えっと、さっきはごめんなさい。」
「あっ、大丈夫だよ。全然怒ってたわけではないんだ。ただ...。」
「ん?ただ?」
「や、なんでもないよ!心配かけちゃってごめん。」
そのまま3人はお墓を後にした。

「んじゃ、俺はこっちやから。気をつけてな!」
「うん...。ばいばい。」
空は家に帰った。
「菫!気にしないであげよ!私たちも帰るよ!」
「...。」
「菫!!」
希は菫に近寄った。
「考え込んじゃだめ!今は冷静になって。」
「だよね...。」
大丈夫だよね...。
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