キミに恋の残業を命ずる
「さんざん秘密を守ってやったのに、配属を変えた早々自分からバラすとは…ほんとにしょうもないやつだな」

「亜海は大丈夫だよ?今だってこうして約束を確認していたんだし」


なんてしれっと言う課長を、心底呆れたと言う表情でにらみつける服部部長。

なんか…部長のこういう顔初めて見たかも。
超有能でいつも隙がないくらいに冷静沈着だから。



「あの…どういう」

「ああ、友樹…服部部長は俺の学生の頃からの腐れ縁でね。秘密を全部知っている数少ないヤツ」


からっと笑顔を浮かべて課長は部長の肩にポンポンと手を置いた。
対して部長はぐったりとしてもう言葉も出ない様子だ。



…なるほど。

社長が当事者として絡んでいるとはいえ、こんなおっきな秘密をよく数年も隠し通せたなと不思議だったけれど…こうして服部部長という協力者がいたからできたことだったんだ。

部長が社員の残業にやたら厳しいのも、このためだったんだ…。
これを逆手に社員の能力アップも図っているところはさすがの一言だけど。
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