キミに恋の残業を命ずる

「…にしても、毎日毎日仕事押し付けて。キミの先輩たちってほんとに人の血流れてるの?」

「ふふふ、きびしいですよねぇ」

「ですよねぇ、ってノンキだねキミも。たまにはガツンって言ってやればいいのに」


言えるものなら言いたいけど…それはわたしの性格上、無理だと思います…。


わたしが黙っていると、課長は焦れたように溜息をついた。


「キミはもう少し自分に自信持った方がいい」

「…」

「こんな理不尽なこと、誰がどう見てもひどいだろ?」

「…たしかにひどいです。どうしてこんなこと平然とできるのかな、って思います。でも、仕方ないんです。だって、わたしはまだまだ半人前以下なんですから」

「だから、そういう考えがいけないんだよ?」

「…でも…言うなら、もう少しましになってからじゃなきゃ意味がない…。まだ半人前のくせにわがまま言うのはお門違いです」

「…」

「…だから今は頑張るしかないと思ってます。おばあちゃんもよく言っていましたし。『若いときは買ってでも苦労しろ』って」


「…ふぅん」
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