キミに恋の残業を命ずる
「…いったい、そのセリフ何人の女の人に言ったんですか?」

「は?…俺ってそんなにチャラく見える?」

「見えます。わたし以外の女の人にもそうやって甘い言葉をかけてとろとろーにしている光景が目に浮かびます!」

「……ふぅん。そっか」


あれ。


ちょっと気悪くさせた…?


でも、本当のことでしょ。

あのポーチの持ち主も、こうやって絆しているんでしょ…。



課長はなにも返さずに、チラと時計を見た。


「もうこんな時間だね。帰った方がいい」

「…あ、はい」

「送ってくよ」



課長はいつもエントランスホールまで見送ってくれる。

時刻は9時を過ぎていた。
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