キミに恋の残業を命ずる

2

「ねぇちょっと、誰かいい案ないのー?」

「あんたこそないの?さっきから文句言って案潰してばっかじゃない」

「なによ、あんたこそなにも案出してないくせに!」



我が総務では今日も先輩たちがご機嫌ナナメだ。


なにかにつけイライラしている方々だけど、特に今日のピリピリっぷりはすごい。
静電気が発されているみたいに、なにか言えば互いにビリッと弾けあう。


今は今月末に開かれる定期親睦会の企画を話し合っている最中だった。

先輩たちはこの年四回の社内企画を考えるのが大嫌いだ。

しかもいつもはホテルで済ませているのに、「今回は経費を節減しろ。ケータリング系は禁止。会場も社内で」とお達しがかかったので、面倒さが増して余計にいきり立っていた。


満足な案が出ないまま、一時間は経っていた。
< 124 / 274 >

この作品をシェア

pagetop