キミに恋の残業を命ずる
「でも例の魚介はどうするの?」

「それは…今業者を捜しているところです」

「残業してまで?もう数日前だろ?手配間に合うの?」

「間に合わせてくれるところを探すんです」


苛立ちを隠せないままつっけんどんに言う。

課長はくすと微笑んだままだった。

やっぱり、案に同意して押し切ったのは、わざとわたしを困らせるためだ。

そこまでして、なにが楽しいんだろう…!

わたしはちっとも美味しいと感じないカモミールティーに口をつけた。

すると。


「はいじゃあこれ」


ソーサーの横に、課長がそっとメモ用紙を差し出した。


「特別に紹介してあげる」

「え?」


そこには簡素に

株式会社カインドフード

とあり、代表者名と電話番号とメールアドレスが書かれていた。
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