キミに恋の残業を命ずる
「いつも行くバーで知り合った飲み友達なんだ。飲食店専門に肉や魚介類を発送している会社をやってる。さっき連絡したら、快く配送を了承してくれたよ」


わたしは思わず課長を凝視した。


もしかして。
同意したのって、このあてがあったから…?

先輩たちが匙を投げた難題をわたしに解決させることで、評価を上げようとしてくれてるの…?


「言っただろ。キミは俺が助けるって。ふふ、ちょっと表情がかるくなったね」

「ありがとう…ございます…。すみませんでした…」

「いやいや。俺は雇用側として当然の代償を払っただけだからね」


微笑む顔には、ちょっとイジワルな表情が残っていた。

けれど。わたしは思い知る。

課長は本当はイジワルなんかじゃないんだ、って。
わたしのことを本当に支えようとしてくれているんだ、って…。


「と、いうことで、本日の残業終わり?」

「…はい。…じゃあ…ご飯作りますね」

「待ってました」


なんだか肩透かしを食ったような気分だった。

課長には一応感謝しておこう…。


問題が解決できたなら、あとはすこしずつ進んでいけばいい。
次の問題は食材をどう準備するかだなぁ。
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